「画像診断機器の共同利用」他院との連携時の留意点
保険診療 虫めがね No.73
今回は画像診断機器の共同利用、「画診共同」について取り上げます。
「患者を近くの病院に紹介してCTを撮ってもらったが、どのように算定するのか」といったお問い合わせが協会に多く寄せられています。
以下の2通りの算定方法が想定されますが、どちらの方法によるかは、依頼側だけでなく、依頼される側(CT等を有する病院等)の対応が問題になります。
以下、簡略にまとめてご紹介します。
①依頼される側が「設備の提供にとどまる場合(「画診共同」の場合)
依頼される側においては、初診料、診療情報提供料Ⅰ、検査料、画像診断料等は算定できません。
依頼する側が実施したものとして、画像診断料等の保険請求を行い、別途、依頼する側と依頼される側との間で合議の上、費用の精算を行います。
この場合、CTやMRIを置いていない医療機関である依頼する側が、CTやMRIの撮影料等を算定することになります。レセプトの摘要欄に「画診共同」と記載するか、電算処理コードで該当するものを選択する必要があります。
②「検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受けた場合」
検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受け、その結果を依頼側に文書により回答した場合には、依頼された側が初・再診料や診療情報提供料Ⅰ、画像診断等を算定します。この場合は、「画診共同」の事例にはあたりません。
こちらのほうが、一般的な算定事例になりますが、依頼された側でも対診が必要になります。依頼された側も依頼する側もそれぞれ、実施した医療行為を算定します。
「CT・MRI」共同利用におけるその他の留意点
平成28年度の診療報酬改定において高性能CT・MRIの点数に、「共同利用施設において行われる場合」の点数が設定されました。届出点数ですが、共同利用の実績数が一定以上の医療機関は届け出たうえでこの区分の画像診断料が算定できます。
なお、上記のとおり、①「画診共同」の場合には、依頼する側が画像診断料を算定します。この場合、機器の基準が該当すれば、先方の提供側の共同利用実績にかかわらず「共同利用施設において行われる場合」の点数を算定できます。
厚労省は日本にはCT・MRIが多いとして、「共同利用」の促進を目指していますが、「画診共同」の取り扱いは医療機関間の合議により、金銭的な調整が発生する他、誘導点数としての「共同利用施設において行われる場合」の画像診断の評価も通常の点数と比べて20点ほどの差にとどまっています。
なお、上記内容について通知上の記載は、各項目にわたっておりますので別途、ご確認ください(以下の参照頁は「保険診療の手引2020年版」)。
- 初・再診料の留意事項(h 検査又は画像診断の実施を依頼された場合)※手引126頁
- 医学管理等の診療情報提供料Ⅰの留意事項⑸~⑺※手引311頁
- 画像診断のCTの留意事項⑻等 ※手引737頁。