大阪府保険医協会病院部・地域医療対策部は10月13日にシンポジウム「何が病院経営を追い詰めているのか 開業医も知っておくべき病院赤字問題」を開催しました。現地・WEBを合わせて103人が参加し、参加者一同で、以下の決議を採択しました。
現在、保険診療は大きな危機にさらされている。医療機関は診療報酬改定の度に経営が追い込まれ、限界となっている。国は骨太の方針で11万床削減、OTC類似薬の保険外しなど、給付削減方針を打ち出して「受け取るサービスは低下し、患者負担はますます増加する」状況をさらに推進しようとしている。
多くの病院では慢性的な人手不足、経営努力だけでは解決できない診療報酬の構造的な問題等を抱え、規模の縮小が行われている。本日のシンポジウムでは、何が病院経営を追い詰めているかといったことや、疲弊する医療現場の具体的な声が出された。もう一度、新興感染症によるパンデミックが起これば、「絶対に対応できない」という声が出されるのも当然である。有事に対応する為には平時の体制こそ充実しなければならない。国は新型コロナ禍の際に医療現場で起きた悲劇をもう忘れたというのだろうか。
診療所はどうか。24年改定により内科系をはじめ、多くの診療所が減収となった。診療所に取って身近な点数が引き下げられた今回の改定は、開業医に大きな打撃を与えるものだった。医院経営の原資である診療報酬を削減しながら物価高騰と職員の賃上げに対応しろという国の姿勢に強く抗議するものである。
こうした状況を打破するため、病院と診療所がともに社会保障の充実を求める声を上げる必要がある。医療費削減がまるで正義かのように言われているが、本来、国民皆保険である我が国の医療費は国民の健康に資するものであって、適切に確保することは当然のことである。「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とした憲法25条の精神にのっとり我々は以下の2点を求める。
一.医療機関に対して物価高騰、職員の賃上げなどに対する緊急の財政支援をすること
一.来年の診療報酬改定は初・再診料、入院基本料など基本診療料を中心とした10%超のプラス改定とすること
以上、決議する。
2025年 開業医も知っておくべき病院赤字問題 シンポジウム
参加者一同








