30年ぶりの本体3%超プラス改定 更なる報酬の充実を【理事長談話】
- 2026/1/14
- 声明・提言
報道関係各社御中
●大阪府保険医協会は、診療報酬改定率の決定を受けて下記の談話を発表しました。
2025年12月26日
大阪府保険医協会理事長 宇都宮健弘
■医療機関の窮状に充分対応しない改定率に強い怒りを込めて抗議する
2026年度診療報酬改定について厚労省は、12月24日、「本体」部分を+3.09%、「薬価等」部分を-0.87%、全体で2.22%のプラス改定とすることを発表した。
本体部分の改定率+3.09%については、協会・保団連をはじめ医療関係団体全体が粘り強く大幅引き上げを求めてきたことが1996年以来30年ぶりの水準へとつながったと一定評価されるが、この間の物価・人件費の上昇や24年度改定でかつてなく厳しい状況に追い込まれている医療機関の経営実態は、3%の引き上げでは改善しないことは明らかである。
国民のいのち・健康を守るため医療の質を確保する観点からも、物価・賃金等の上昇分の公的価格への的確な反映は国の最低限の責務である。その責務すらも果たさず、10%以上の引き上げを求めてきた医療機関の窮状に充分対応しない改定率に強い怒りを込めて抗議する。
■物価・賃金上昇に見合わず、実質マイナス改定である
現在、病院の7割、診療所の4割が赤字という深刻な事態の中で、日本銀行が示す今後2年間の物価上昇率予測(3.6~4.0%)にも満たない改定率は、実質マイナス改定と断じざるを得ない。
また、本体部分+3.09%のうち+1.70%を「賃上げ対応」に充てているが、その実効性は不透明である。前回新設されたベースアップ評価料を届出・算定している医療機関でも賃上げ率は全体で3.4%にとどまり、全産業平均7.3%の半分にも満たない水準である。煩雑な事務を要するベースアップ評価料という方式では、地域の診療所は対応できないことは明らかだ。全ての医療従事者の賃上げが可能となるよう、初診料・再診料など基本報酬こそ引き上げるべきである。
■「適正化・効率化」で医療過疎・医療空白の拡大危惧
今回の改定財源のうち、賃上げ・物価対応以外は+0.1%にすぎず、「政策改定」+0.25%、「適正化効率化」-0.15%とされた。「適正化・効率化」では、在宅医療の適正化や「一般名処方加算の見直し」、長期処方・リフィル処方の取組強化などをあげており、医科診療所では、本体部分は実質上、大幅なマイナスになることが強く危惧される。
地域医療は診療所と病院が連携し「面」で支えており、どちらが欠けても地域の医療提供体制は維持できない。診療所医師の高齢化も進む中、度重なるマイナス改定や現場実態を無視した医療DXの押し付けなどで診療所の閉院は増えている。そこに更なる診療所の報酬引き下げを行えば、閉院の促進、開業の減少を招き、医療過疎・医療空白の地域を増やすことになる。
■防衛費は9兆円へ大幅増の一方、医療・社会保険制度の形骸化を図る政治は許せない
政府は、2026年度予算案で防衛関係費9兆円超を計上し、今後11兆円への拡大を目指している。その一方で、医療・社会保障は給付抑制や負担増、報酬の圧縮で制度全体の縮小が図られている。医療では、高額療養費制度の限度額や薬剤自己負担の引き上げも狙われており、医療提供体制の縮小と患者負担増加の双方で、患者・国民から受診機会が奪われようとしている。
私たちは引き続き、現場の実態に基づく声が政治を動かすことに確信を持ち、医療機関が安心・安全な医療提供体制を担保するために、日常診療が必要とする診療報酬へ基本診療料の10%以上引き上げを求めるとともに、医療・社会保険制度を形骸化させる政治を許さず、患者にこれ以上の負担をさせない運動を進めていく決意である。
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大阪府保険医協会 大阪市浪速区幸町2-2-20-401
電話06-6568-7721(担当:坂元・中村)








