第142回評議員会・拡大役員会決議
- 2026/2/18
- 声明・提言
医療現場は、いま深刻な経営危機に直面している。物価高騰、医薬品・医療材料費の高止まり、人件費の上昇が続く中、2026年度診療報酬改定は全体で2.22%にとどまり、地域医療を支える水準には到底及ばない。医療界が求めてきた10%以上との乖離は大きく、閉院や診療縮小による地域医療への影響が現実のものとなりつつある。
診療報酬の抑制にとどまらず、処方薬の保険給付見直しや高額療養費制度の限度額引き上げ、長期収載医薬品の差額負担拡大など、受診抑制につながる患者負担増の政策が次々と進められている。このままでは「保険あって医療なし」とも言える状況になりかねない。
高市政権は物価高騰への有効な対策を示せないまま、さらに台湾有事をめぐる発言で外交的緊張と国民の不安を広げ、その責任を取ることなく衆議院を解散し、総選挙に踏み切った。高市政権下でも安保3文書の策定以降続く、対GDP比2%に向けて防衛費の増額が加速する一方、医療や社会保障など国民の命と健康を守る予算は削減されてきた。改めて、「医療費が下がれば医療の質が下がる」という現実を国民と共有していかなければならない。
大阪・関西万博は2025年10月に閉幕した。「関西経済の発展を促す起爆剤」と銘打ってたった半年間のイベントのために多額の税金が投じられたこと、開催期間中の運営上の課題、災害対策や医療救護体制の検証など、いまこそ真摯な総括が求められている。あわせて、万博跡地で進められるカジノ・IRについても、ギャンブル依存症対策や地域への影響を含め、医療者の立場から厳しく注視していく必要がある。
吉村洋文前大阪府知事が代表を務める日本維新の会は「身を切る改革」を掲げながら、所属議員による国民健康保険制度での「脱法的行為」や公金の使途をめぐる疑念が指摘されている。既得権益を批判する一方で、自らは制度の隙間を悪用する政治姿勢は、国民の理解を得られるものではない。そして、それを覆い隠すかのように2度の住民投票で否決された「大阪都」構想を「副首都」構想に名を変えて持ち出しての府・市ダブル選挙はまさしく党利党略によるもので、これにより何らの民意が決するものではない。
国際社会では大国による武力行使が相次ぎ、国連憲章と国際法の軽視が懸念されている。今年、施行から80年を迎える日本国憲法の下で培われてきた平和的生存権の意義は今、改めて重い。年始早々にアメリカがベネズエラに行った暴挙のように、力による現状変更が公然と行われる最中、日米同盟を理由に自衛隊の海外での武力行使への関与を拡大することは認められない。
大阪府保険医協会は、診療報酬の抜本的改善と患者負担の軽減、国民皆保険制度と地域医療を守る取り組みを強めるとともに、平和と人権を尊重する社会の実現に向け、行動する決意をここに表明する。
2026年2月7日
第142回評議員会・拡大役員会








