制度の安定性なき保険証廃止は撤回せよ(談話)

制度の安定性なき保険証廃止は撤回せよ

― 従前の健康保険証の復活と資格確認書の全員交付を求める

昨年12月2日、健康保険証が廃止された。政府は混乱回避のため、今年3月末まで「期限切れ保険証」や「資格情報のお知らせ」での受診を暫定的に認めている。


大阪府保険医協会が実施した昨年12月以降のマイナ保険証利用状況調査(回答622件)では、約65%の医療機関が資格確認トラブルを経験していることが明らかとなった。


最多の事例は従前から指摘されてきた「●(くろまる)が出る」という表示であり、再入力などの事務負担に直結している。加えて、人手不足の現場における患者説明の負担、資格情報の反映遅延による窓口混乱や患者トラブルも発生している。さらに、資格確認ができず「いったん10割負担を求めた」とする回答が約2割にのぼり、患者の受療権への影響も懸念される。システム不備による混乱が医療機関と患者に転嫁されている実態は明白である。


また、昨年8月分以降のレセプトについて、資格情報や負担割合の齟齬を理由とする返戻が約30%の医療機関で発生している。厚生労働省は保険者間で調整されると説明してきたが、実際には返戻という形で医療機関に責任と負担が転嫁されている。


資格確認不能時の対応としては、資格確認書および従前の健康保険証による確認が「資格情報のお知らせ」を大きく上回っており、現場ではこれらが事実上の補完機能を果たしている。


4月以降、暫定措置終了とマイナ保険証の利用率上昇による混乱拡大が懸念される。さらに、7月末で期限を迎える後期高齢者の資格確認書については、マイナ保険証を保有する84歳以下は申請がなければ交付されない仕組みとなるなど、混乱の火種が消えることはない。代替手段の位置づけが不安定なままでは、不安は解消されない。医療現場は行政の不備を吸収する緩衝材ではない。制度の不完全さが現場を疲弊させれば、その影響は最終的に患者に及ぶ。


資格確認で最優先されるべきは「確実性」である。オンライン資格確認が即時性と完全性を担保できない以上、従来の保険証という確実性を担保する手段を廃止すべきではなかった。


大阪府保険医協会は現状を踏まえ、①従前の健康保険証の復活及びマイナ保険証との選択権を被保険者に付与すること、②マイナ保険証を前提とした制度運用を続けるのであれば、制度上の不備が解消されるまで当面資格確認書を全員に交付することを国及び自治体・保険者に求める。

2026年2月26日
大阪府保険医協会
政策調査部長 斉藤和則

              
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