【理事会声明】オーバードーズ問題の背景にある処方薬転売実態において医師の処方を“詐欺”と称した発言の撤回を求める
- 2025/11/29
- 声明・提言
京都大学大学院教授 藤井聡 様
報道各社 御中
関西テレビは、2025年11月14日放送の「newsランナー」で、オーバードーズ(薬の過剰摂取)の問題を取り上げ、生活保護の医療扶助制度を悪用して処方薬が“闇露店”で販売(転売)されている事例を紹介した。
その際に、スタジオコメンテーターの藤井聡京都大学大学院教授が「今回出てきてる方、それぞれ悪いわけですけど、僕はこの中で最も社会的責任を問われるべきは、(生活保護受給者の)バイヤーにタダで薬を大量に配っている(処方している)医師だと思いますね。(中略)この人にこれだけの薬がいると本当に思って配ってるわけではなくて、(中略)その配った分のお金(医療費)の10割が皆さんの税金による政府からその医者に払われてるわけですよ。これはとんでもない詐欺だと思うんです。」と発言した。
この発言は、医師や生活保護受給者全体に対する誤解や偏見を助長するものであり、発言の撤回を求める。
我々医師は、身体の不調等に関する患者の訴えと生活状況などのエピソードをもとに診断し、必要であれば検査や医薬品の処方を行っている。治療上必要と判断した上で行われているはずの処方に対し、“生活保護受給者が処方薬を転売している”という事実だけで何の証拠もなく“医師が医師自身も必要とは考えていない薬を処方している”と断定し「とんでもない詐欺だ」と発言したことは、視聴者に医師全体への悪印象を与えるものであり決して許すことはできない。
また、生活保護の医療扶助制度は、経済的理由により必要な医療を受けることができない状況にある人を制度利用により受診につなげるという重要な役割を果たしている。今回の報道は、自らの健康・いのちを守るために制度を必要としている人にまで制度の不正利用・悪用の疑いをかけるものである。
ごく一部の不正利用・悪用者の問題を殊更に大きく取り上げる報道内容についても是正を強く求める。
2025年11月27日
大阪府保険医協会 第4回理事会








