「OTC類似薬」を含む薬剤自己負担増の閣議決定に強く抗議し、治療に必要な医薬品の保険適用存続を強く求める【政策部長談話】
- 2025/11/26
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大阪府保険医協会は、総合経済対策の閣議決定を受けて下記の談話を発表しました。
報道関係各社 御中
自民党・日本維新の会の連立政権は11月21日、25年度補正予算に関する総合経済対策の閣議決定において、「OTC類似薬」を含む薬剤の自己負担について、「現役世代の保険料負担の一定規模の抑制につながる具体的な制度設計を2025年度中に実現した上で、2026年度中に実施する」と明記した。
薬剤によっては自己負担が何十倍にも増加することになり、患者・患者団体は大きな不安と、国民の命と健康に責任を持たない政治に不信を抱いている。多くの患者・国民の健康・社会生活に多大な影響を及ぼす薬剤の自己負担の見直しについて、当事者への影響を一切明らかにしないまま結論ありきで閣議決定したことに強く抗議する。
今回「薬剤の保険給付の在り方の見直し」として保険はずしが狙われている「OTC類似薬」は、そもそも医師の診断・管理の下で適切に使用しなければならない薬(=医療用医薬品)であり、その内、有効成分が一致している市販薬(OTC医薬品)が販売されているものを指している。
日本維新の会が4月17日の三党協議で保険はずしを提案した28有効成分のリストには、解熱鎮痛薬や咳止め、たん切り、抗アレルギー薬、湿布、保湿剤などが含まれているが、こうした医薬品は、急性疾患だけでなく慢性疾患や重症疾患などさまざまな患者の治療継続や症状を緩和・安定させるために使用している欠かせない薬である。
厚労省が11月6日の社会保障審議会医療保険部会で示した医療用医薬品とOTC医薬品の薬剤費比較では、花粉症薬や解熱鎮痛薬で最大20倍、湿布薬で最大30倍、風邪薬では最大50倍の価格差があると指摘しており、経済的理由から必要な薬が使用できなくなるケースが確実に増加する。
一方で、今回の閣議決定では、「現役世代の保険料負担の一定規模の抑制につながる」ことを目的としてあげているが、上記の28有効成分リストの薬剤費総額は1523億円であり、国民一人当たりの保険料では年間でも1200円程度の引き下げにしかならない。
医薬品の保険はずしの一番の狙いは、医療機関への受診の抑制であり、医療の大原則である「早期発見・早期治療」を困難にし、国民の健康に多大な悪影響を与えることになる。
治療に必要な医薬品を保険からはずし国民を医療から遠ざけるのではなく、社会保障の所得再分配機能を高める視点からも、抜本的に国庫負担を増やし、保険料の引き下げとともに患者自己負担を引き下げて安心して医療にかかれる制度とすることが喫緊の課題である。
患者負担を増大させるOTC類似薬の保険はずしは撤回し、治療に必要な医薬品の保険適用存続を強く求める。
2025年11月21日
大阪府保険医協会
政策調査部長 斉藤和則
お問合せ/大阪府保険医協会
大阪市浪速区幸町2-2-20-401 電話06-6568-7721(担当=坂元・平井)








