保険診療 虫めがね No.62

2020年10月診療分より電子レセ請求における記載要領への「選択式記載コード」の追加が完全実施とされました。11月の請求前から保険医協会に会員医療機関より多くの質問・疑問、怒りの声が寄せられています。2018年改定で初めて導入され、今回の改定で1700項目が追加された記載要領通知の「選択式記載コード」によって医療現場にどのような混乱がもたらされたか、協会のアンケート結果などから見ていきたいと思います。

アンケートで「業務時間減」はゼロ

 

今回の記載要領通知「選択式記載コード」の追加について、厚労省は「診療報酬請求事務の効率化になる」としています。その意味は「今まで手入力していたものをコード入力することによりミスが減り、返戻などを防ぐことができる」ということですが、現場はどう考えているでしょうか。

協会が10月に取り組んだ会員医療機関アンケート(519院所より回答)では「今回の『コード化』により、業務時間はどうなったか」という問いに対し「減った」と回答した医療機関はゼロでした。一方で「増えた」は399件で76.9%となり、今回の「選択式記載コード」追加が、ただでさえコロナ禍で苦しむ医療現場に大きな負担を押し付けていることが分かります。

また、「今まで手入力していたものをコード入力するようにした」という認識にも大きな誤りがあります。今回の「コード化」で特に疑問が集中している項目である在宅医療を見てみたいと思います。

例えば往診料では「在宅患者訪問診療料を当該月に算定している」場合には往診日を記載する必要があります。また、在宅患者訪問診療料にも「当該月又は前月に往診を行った場合」に訪問診療日を記載することとされています。その上、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料を算定する際には「往診又は在宅患者訪問診療料の実施日」を記載することとされています。なぜかこの実施日について別々のコードで重複して入力する必要があります。記載事項では「実施日」とされていますが、コード入力の際に日のみならず年月日を打ち込まねばなりません。

そもそも診療報酬明細書とは、請求年月が限定されている月ごとの請求書です。審査に用いる場合であっても実施日が分かれば十分で、実施年月の記載を医療機関に強いることは許されません。算定の都度、「コード入力→実施年月日を入力」する作業をさせておいて、「事務の効率化につながる」という厚労省の認識には強く抗議したいと思います。

「請求」とは無関係の作業 医療機関に押し付けるな

 

今回のコード化は「国民医療ビッグデータの活用」という狙いがあることは容易に想像できます。マイナンバーを用いたオンライン資格確認を、マイナンバーカードの普及状況を無視して医療機関に早急な導入を求めていることとも無関係とは思えません。診療報酬請求と何ら関係のない作業を、医療機関に押し付けるやり方はやめるべきです。

保険医協会は会員アンケートと1500筆超の協力があった「レセ記載要領のコード化凍結を求める」院長署名を11月19日に厚労省に届けました。その際、厚労省からの発言があった「現場の声を受け止めたい」という内容通り、診療報酬請求「選択式コード」については即刻の凍結を求めます。


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