定着なるか「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」

保険診療 虫めがね No.58

今回は「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」を取り上げます。在宅患者訪問褥瘡管理指導料は医師、看護師等、管理栄養士で在宅褥瘡対策チームを設置し、重点的な褥瘡管理が必要な患者に対し、チームが共同して褥瘡管理に関する計画的な指導管理を行った場合に算定する点数です。初回のカンファレンスから起算して6カ月以内、患者一人について3回に限り750点が算定できます(算定要件等の詳細は『保険診療の手引2020』P472~475)。

【図 在宅褥瘡対策チームによる実施内容と算定のタイミング】

2014年の点数改定で新設された点数ですが、届出件数は大阪府内で見ると14医療機関(2020年8月3日時点)、算定回数に至っては全国で見ても月に4回(社会医療診療行為別統計・診療所入院外・2019年6月)となっています。

ここまで広がりを見せていない理由について、「管理栄養士の確保」が考えられます。今回の改定では「他の医療機関」または「都道府県栄養士会が設置し、運営する『栄養ケア・ステーション』」の管理栄養士を対策チームに確保し、在宅褥瘡対策チームの医師の指示により指導管理しても良いとするなど、厚労省も対策は考えているようです。

2019年4月に保険医協会地域医療対策部が開催した在宅における栄養管理をテーマにした学習会では、参加の医師から「在宅医療で栄養管理を管理栄養士にお願いしたくてもどこにいるか分からない」「他の医療機関の管理栄養士にお願いして動いてくれるのか?」といった声が寄せられました。今回の改定は医師と管理栄養士の連携促進に資するものとなるかもしれません。なお、先述した管理栄養士の確保に関する改定は、外来栄養食事指導料2や在宅患者訪問栄養食事指導料2にも導入されています。

しかしながら、在宅患者訪問褥瘡管理指導料の普及にはもう一つ大きな問題があります。それは「安すぎる診療報酬」です。在宅患者訪問褥瘡管理指導料は6カ月の間に750点を3回算定するのみで、合計でもわずか2250点です。この点数を在宅褥瘡対策チームで案分するということになります。それぞれ、訪問診療料や訪問看護、訪問栄養食事指導料は要件を満たせば別途算定できますが、褥瘡対策としての費用が低く抑えられていることは明らかです。

今回の改定について、管理栄養士の方から意見を聞く機会がありました。在宅患者訪問褥瘡管理指導料が広がらないことについて、「在宅患者訪問褥瘡管理指導料の点数もさることながら、ベースとなる在宅患者訪問栄養食事指導料や外来栄養食指導料の報酬が低すぎるのではないか。病院経営に余裕はなく、これでは管理栄養士が所属する病院も〝どんどん地域に出て行こう〟とは言いにくいと思う」と話してくれました。

在宅医療への誘導を、外来との点数格差で行おうとした厚労省の考えは一度見直し、外来点数も含めた抜本的な診療報酬引上げが求められていると考えます。

 


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