2020年はどんな年だったか 協会の要求運動を振り返る

今年はコロナで明けコロナに暮れたといっても過言ではない。とは言え、コロナによって今まで隠れていた様々な課題が顕在化してきた年でもある。困難な状況下で、大阪府保険医協会は会員の健全な日常診療及び市民の命と健康を守る立場から、多くの要求運動をしてきた。主なものを振り返ってみたい。 

「2020年診療報酬マイナス改定への抗議」

20年度の診療報酬改定は本体部分が0.47%引き上げられ、救急病院の勤務医の働き方改革への対応分として0.08%上積み、0.55%増やすことが決定された。薬価等は1%引き下げで、この分は今回も本体部分には回らなかった。これで4期連続のマイナス改定となり国民の命と健康を預かる医師として強く抗議する理事長声明を発表。    

「新型コロナウイルスの影響調査 大阪府・国に支援要望」

新型コロナウイルスの影響で、医療機関でのマスクやフェイスシールドなどのPPE不足、また患者数減による収入減などが深刻となっていることが保険医協会が4月に行った会員緊急アンケートで明らかになった。これらの声を受けて、内閣総理大臣・財務大臣・厚生労働大臣等宛に要望書を提出。

「住民投票よりコロナ対策を要望する」

大阪市解体・「大阪都」構想の経済効果について重大な疑問があり、しかもすでに一度住民投票で都構想は否決されている。一方コロナ禍は大阪府民の健康・経済・教育等に多大な悪影響を与えており、待ったなしであるとし、6月に住民投票は行うべきでないと府・市宛に要望書を提出。

「種苗法改定案の廃案と日本の食料自給率の引き上げで食料主権の強化を要求」

改正案は、今まで農家に原則として認められてきた自家増殖を原則許諾制とするものだ。これにより種苗の育成権を持つ企業などが許諾料を吊り上げて種の値段が上がることになる。18年度の日本の食料自給率は37%という低さだ。今回のコロナ禍のような時、国にとって大きなリスクである。国内の農業の生産基盤を強化し食料自給率を上げる政策路線を歩むべきであるとし、国宛に要望書を提出。

「ワクチン開発をめぐる吉村大阪府知事の発言に対し懸念と要望」

6月17日、吉村大阪府知事は記者会見で新型コロナウイルスの予防ワクチンの治験を6月30日に開始し21年春から秋に実用化を目指すと発言。この審査前の治験決定公表は、厳正であるべき医薬品審査の手続きを完全に無視する非常に危険な行為である。あくまでも安全性を重視したワクチン開発を要望。

「吉村大阪府知事の『イソジン』発言に抗議声明発表」

8月4日、吉村大阪府知事は「ポピドンヨードでうがいをすると新型コロナウイルスの陽性者が減っていくのではないか」という研究結果が出たとして、ポピドンヨードを使ってうがいをするように呼びかけた。しかし使い過ぎや希釈が不十分であると副作用もある。また効果についての研究成果も不確実だ。医療現場を混乱させ住民の命にもかかわる安易な発言であるとして猛省を促した。

「大阪市解体・都構想反対とコロナ対策の強化を訴える」

5年前も協会は市解体に反対の立場で住民投票に臨んだ。結果は市解体・分断は否決された。今コロナ禍のこの時期になぜ住民投票なのか?住民サービス切り捨ての都構想に断固反対するよう、会員・患者に広く呼び掛けた。

「菅首相の日本学術会議への人事介入に抗議」

菅首相は日本学術会議が20年8月31日付で推薦した会員候補者のうち、6人の任命を拒否。菅首相は任命拒否の理由を具体的に示していない。任命拒否された6人には、安保法制や共謀罪法に異を唱えた学者が含まれている。政府に批判的な学者を排除することは憲法23条「学問の自由はこれを保障する」に対する深刻な侵犯であり、重大な憲法違反だとして強く抗議。

「初診からのオンライン診療の恒久化に反対」

コロナ禍において感染拡大の特例措置として電話や情報通信機器による初診・再診で処方が認められている。今回の措置はあくまで時限措置でありコロナが収束すれば通常のオンライン診療の取り扱いに戻すべきである。コロナ感染拡大であらゆる分野でデジタル化、オンライン化が議論されているが、医療は命と健康に直結する問題である。安全性の議論をないがしろにしてのオンライン診療の拡大、ましてや初診からのオンライン診療の恒久化はすべきではないとして断固反対。


2020年、我々はコロナ感染拡大の中で診療・経営上の困難に直面している。協会は国や府に対して、積極的に前向きな様々な要求や提言をしてきた。このように臆せずに、医師として市民として当然の権利を主張していくことはコロナ危機を乗り越え、よりよきポストコロナ時代を迎えるためには重要なことである。


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