運動で社会の〝世直し〟を勝ち取ろう―窓口負担2倍化反対署名へご協力を

3年目に及ぶコロナ禍は未だ収束の兆しを見せていない。ダイヤモンドプリンセス号での対応をはじめ「GOTO」「イソジン発言」「五輪開催」など、国や大阪府・市の対応には大きな問題があった。医療をよく知らない政治家が、思いつきのような策を打ち出しても効果はほとんど上げられず、逆に医療現場の混乱と混迷が続くことになった。

その上さらに、どさくさに紛れる形で昨年6月に国会で強行採決されたのが「75歳以上の高齢者医療費窓口負担2倍化」法案である。年収200万円以上の高齢者は「富裕層」であり負担能力があるとされた。

この法案に賛成した政党が「自・公・維・国民」であり、反対した政党は「立民・共・れいわ・社民」であった。この法案は今夏の参議院選挙を経た後に、10月から施行の予定である。

現行1割負担の高齢者は1500万人いるが、そのうちの4分の1である370万人の窓口負担を2倍にするという大改悪である。

特に東京・大阪など大都市で影響が大きく、現行1割負担の高齢者のうち、約3分の1が2割負担になる見込みだ。ただでさえコロナ禍で深刻な受診抑制が起こっているなかで、医療費の窓口負担が倍増してしまうと地域医療はますます衰退の危機に陥ってしまう。

また今後は、湿布の処方枚数が35枚に制限されようとしている他、リフィル処方の導入など改悪が続く見通しである。点眼・点鼻・漢方・風邪薬などの保険外しも狙われており、見過ごすことはできない。

これまで医療費の窓口負担割合については、経済性の観点ばかりから議論されてきた。背後にある思想は医療に「効率」と「受益者負担」を求める新自由主義である。日本がこれまで築き上げてきた「いつでも・どこでも・だれでも」医療を受けられる権利、すなわち社会保障の観点からの検討は極めて不十分である。

近年は、大企業などに対して応分の負担や社会的責任の履行を要求するのでなく、弱い立場である一般の高齢者などに負担を強要する傾向にある。コロナ禍の中でも収益を大幅増としている大企業にこそ応分の負担増を求めるべきだ。

今の状況では、国民にとっても医療機関にとっても「お先真っ暗」なことばかりで明るい展望が見えてこない。それならば「1度、国民運動によって社会の世直しをしてみませんか」と呼びかけたい。

保険医協会は「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止を求める」請願署名をいよいよ全国で開始する。

1度決まった法案でも実施の延期・凍結をさせることは可能だ。実例として「70~74歳の窓口負担2倍化」について、成立後6年間も保険医協会を先頭とした運動によって凍結させたことがある。

署名や全国的なムーブメント、各方面への働きかけによって世直しを勝ち取っていこうではないか。先生、そしてスタッフから始めよう。ぜひ、署名へのご協力をお願いしたい。


保険医新聞掲載

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