逼迫する大阪「どさくさ紛れ」の「総合区案」提出阻止を

「どさくさ」とは、思わぬ出来事に混乱しているという意味合いであり、そこに「紛れる」=その状況のなか自分の悪巧みがバレないように、こそこそと行動をするという慣用句があります。いまコロナ禍で社会が混乱した状況に乗じて悪事を働く人々がいますので、私たち医療関係者は特に気をつけましょう。どさくさ紛れに悪事を働くような人は、見た目が良くても実は狡猾とした顔でオドオドした眼が印象的です。

大阪市を廃止し複数の「特別区」に分割するという大阪都構想は2015年と2020年の2度にわたって住民投票が行われ、いずれも反対多数で否決されたため廃案となりました。

ところがコロナ禍で多くの住民が苦しんでいる中、住民投票の結果を軽視するかのごとく新たな「都構想」が画策されています。つまり名前だけは大阪市を残して、実質は都構想を実現しようというものです。「大阪維新の会」は都構想の簡易版ともいえる「広域一元化、総合区案」を今年2月の大阪府議会・大阪市議会に提出する予定です。

この条例案は住民投票の必要がなく、市民に知らされないままに維新と公明両党が多数を占める府市議会で可決される危険性があります。

大阪府の死亡者多数は病床削減政策が背景に

「広域一元化、総合区」とは税金を使い、公共事業を府と市が一体となって推進するという「成長戦略」のことです。吉村知事は「大阪市は残しながら、2千億円の財源を何とか府に吸い上げたい」と公言しています。IRとカジノにはお金が要るから、そのインフラ整備のための財源2千億円を何としても大阪市から大阪府に移行しようとしているのです。

コロナ禍により明らかになったのは人口約900万人の大都市大阪でたった100床の重症病床もままならない大阪特有の医療体制の脆弱性です。東京の陽性者約8万人当たりの死亡者707人に対して、大阪は陽性者約3万6千人当たりの死亡者714人です。この10年間、削減され続けてきた大阪の医療体制がコロナ禍により崩壊しようとしています。

大阪府保険医協会は昨年夏から医療崩壊を警告し「医療体制の見直し」を訴えてきましたが、吉村大阪府知事は十分に対応できませんでした。府知事にとっては「想定外」であっても、私たち医療関係者にとっては「想定内」だったのです。府知事の危機管理意識の驚くべき欠如による後手後手の対応が更なる悪循環を招いています。今回、「広域一元化、総合区」条例案を議会に上程し、その混乱のなかで再び、現場の医療機関や府民にコロナ禍の犠牲を強いるのでしょうか。


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