疑問が残る「子ども・子育て支援法」 急がれる待機児童・保育士不足解消

令和元年5月10日、改定「子ども・子育て支援法」が参議院本会議で可決・成立した。新聞の見出しだけを見ると幼児教育が〝タダになる〟という言葉が目に飛び込んでくる。経済的に不安を抱えている子育て世代には大変魅力的に映るであろう。

しかし疑問も多く出てくる。財源はどうするのか。「絶対に消費税を10%へ引き上げる」という約束を無理やり国民がさせられたようなものである。また、どのような議論があったのか国民にはあまり分からないまま早々と可決されてしまったのは何故か。

なお、認可外保育施設指導監督基準を満たさない施設も5年の間は公的給付の対象となるという。保育の質が大きく下がることが懸念される。いずれにせよ「保育」に関しては従来から問題になってきた重要事項がいまだに解決されておらず、そこへこの法律を上積みすることは拙速に過ぎると言わざるを得ない。

早急に解決すべき問題の一つとして挙げられるのが「待機児童問題」である。これが解決しなければ国の重要課題である「男女共同参画社会の実現」は成し得ない。

ところで待機児童とは「保育所等への入所申請がなされており入所条件を満たしているにもかかわらず、保育所等に入所出来ない児童」のことである。厚生労働省の発表によると保育所等の待機児童数は、平成30年10月時点で47198人、平成30年4月時点より27303人も増加している。年度途中での入所の難しさが表れている。それは、多くの母親または父親がすぐにでも働こうとスタンバイしているにもかかわらず、なかなか働きだすことが出来ない現状があるということである。しかも地方より家族のサポートが受けにくい都市部に待機児童が集中している。その結果、多くの労働者の労働力を生かすことが出来ていないのだ。

もう一つの解決しなければならないこととして、「保育士不足問題」がある。厚生労働省の調査では平成29 年度末で約7.4万人が不足しているという。子どもを預かる責任は重く、重労働である保育士の仕事だが、他職種より給料が低い。休暇が一般企業より少なく(一般企業年平均113日に対し100~105日)、その上有給休暇も取りにくい。労働環境が悪いため、結婚・妊娠・出産で退職する女性保育士も多いとのことである。

これらの点についての改善は喫緊の問題であった筈である。それが解決していない中での今回の「子ども・子育て支援法」の成立は、単なる選挙前の人気取り対策といっても過言ではなかろう。


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