”減点ありき“の審査目立つ 不合理な生活保護の査定・返戻問題


保険医協会では、会員から日々保険点数についての相談を承っているが、最近生活保護患者に特化して査定をしているのではと疑われる問い合わせが増えてきた。その内容も「再診料」や「在宅患者訪問診療料」の回数減など、医師の診療自体を認めていないものもあり、大いに問題視すべきものと思われる。保険医協会は昨年、生活保護医療の査定について、会員1千件を抽出しアンケートを行った(『大阪保険医新聞』2018年12月5日号掲載)。

アンケートでは生活保護医療への査定・返戻・連絡文書の事例が数多く寄せられた。問題の事例は府下全域にみられた。ちなみに、他府県ではこのような事例は報告されていない。

査定・返戻の内容としては、減点することに主眼をおいたものが多く見られた。とりわけ在宅診療関係の査定が目立つ。例えば「4回の訪問診療を1回に減らし、在宅時医学総合管理料の点数を『訪問診療料1回の場合』の点数に減らす」「往診の回数減」「褥瘡の治療開始前と経過中の写真を添付して治療内容を詳記する」「末期状態と診断した根拠を詳記する」といったことを求められている。

連絡文書では、「訪問診療は月に1回または2回が原則です」「重症の場合は週1回の訪問診療が認められます」「1カ月処方の患者にそれ以下の間隔で訪問しているが、投薬のない日の訪問診療の必要性を詳記願います」など、診療報酬の告示・通知で示されていないものや根拠不明のもの、さらに医師の診療方針に踏み込むものまであった。

診療方針にまで踏み込むのは「査定」とはいえない

算定要件を満たしているにも関わらず、医療機関に症状詳記を求めたり連絡文書を発出したりする場合は、その根拠を説明すべきである。そもそも査定は定められた診療報酬のルールに違反しているかどうかをチェックするものであって、ルール内にも関わらず医師の診療方針に口を挟むような減点や詳記の要求は、もはや査定の領域を逸脱している。しかも、一般患者のレセプトではされないような根拠不明の査定が、生活保護患者に対し頻繁に行われることは、生活保護患者の医療を平等に受ける権利を阻害する。現実に、理不尽な査定に困り果てて、生活保護患者の受け入れを止める医療機関もでている。

我々は支払基金に対してこのような査定の理由を問うべく、懇談もしくは質問状に対する文書回答を要求した。しかし、懇談も文書回答も拒否され「個別の事例について各医療機関から支払基金へ照会するように」との返答があるのみであった。「なぜ算定要件を満たしていても生活保護では返戻されるのか」という問いに対し、支払基金は回答もせず不誠実な態度である。

問題の査定は一部の審査委員が行っているとも聞く。審査委員との懇談等で背景を探るなど、審査の改善に向けてさらなる行動を起こす必要がある。会員の先生方にも、理不尽な査定には支払基金に異議申請をして頂き、また協会にも是非情報をお寄せ頂きたい。

ページ上部へ戻る