気候変動危機の打開に向けて―自然エネルギーによる発電を

2016年に年に発効したパリ協定においては、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ2℃よりも低く保ち、1.5℃までに抑える努力をすること、またそのため、できる限り早く世界の温室効果ガス排出量を減らし、21世紀後半にカーボンニュートラルを実現することが決められた。

気候変動により水循環が高まり、降雨の増加と洪水がより激しくなり、別の地域では干ばつが深刻化している。海面水位の上昇は低地における沿岸洪水と、海岸浸食が頻繁、深刻になっている。永久凍土層の融解、北極や南極の氷の減少、氷河の融解もこれに輪をかけている。自然エネルギーの必要性、重要性がますます高まっている。

自然エネルギーのメリットとしては、①エネルギー源が枯渇しない、②化石燃料を用いた火力発電のように二酸化炭素を発生しない、③原発のような放射性廃棄物を排出しない、④燃料が不要であるので、ほぼ初期コストのみで運転でき⑤最も安価なエネルギー源である、⑥化石燃料やウランのように偏在しないため、資源をめぐる争いが起こりにくく、ほとんどの国で利用可能である、⑦地域に根差した分散型の利用が可能である、といったことである。

地球温暖化による感染症の新たな増加も懸念されている。各種蚊によって媒介されるウイルス疾患の増加、例えばヒトスジシマカの北上によるデング熱、日本脳炎の北海道地域への拡大、ハンタウイルス肺症候群は温暖化で繁殖したネズミが媒介するウイルス疾患である。その他、リフトバレー熱、ウェストナイル熱がある。原虫疾患であるマラリアの北上、海水温の上昇によるコレラ菌の増殖、下痢、皮膚壊死を引き起こすビブリオ・バルフィニカスなどがある。

国際エネルギー機関(IEA)が提唱する脱炭素化のロードマップでは、2050年の自然エネルギーの発電比率が9割である。政府のエネルギー基本計画では2030年度の電源構成の計画について再エネの割合を30%台後半、原発を2割程度とする方向である。

2019年、日本国内の自然エネルギー電力は18%程度で、先進国の中では少ない。

内訳は太陽光7.4%、風力0.76%、水力7.4%、バイオマス2.7%、地熱0.24%だが、火力発電は依然として高く75%、原子力は6.5%だ。

他国の自然エネルギー発電比率は、デンマークが2016年51.8%、ドイツが2018年42%、水力が多いノルウェー、オーストリア、ニュージーランド、アイスランドやコスタリカなどは、すでに100%に近いレベルに達している。

日本では政策としての整備の遅れがあり、自然エネルギーを効率的に利用するための電力市場、送電網の運営規則が整っていない。また、自然エネルギーのコストが他国に比べ高く、建設を効率的に行うための技術が未熟である。

脱原発を進めながら、コスト削減の技術、政策転換、予算を増額、投資の促進などが求められる。


保険医新聞掲載

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