東日本大震災・福島原発事故から10年―教訓に背を向ける政府の「グリーン成長戦略」

東日本大震災から10年が経過した。1万6千人の尊い命が奪われ、不明者も2千500人を数える。さらに4万8千人が住み馴れた居住地から離れ、震災前の生活を取り戻せずにいる。

東日本大震災以降に全国各地で多発している地震は、震度7が3回、6強が7回、6弱が18回、5強が44回を数え、直近では2月13日に福島県沖地震(震度6強、M7.3)があった。

地震多発国家として、防災、減災を可能にするには、万全のインフラ整備、教育、研究、訓練が重要である。しかしGoToトラベル予算2.7兆円などに対して、地震調査研究予算は76億円と心細い限りだ。南海トラフ海底地震津波観測網の強化や活断層評価の研究などの予算を増額すべきである。

今後の巨大地震に伴う津波は、内閣府の有識者検討会によると、最大で高知県黒潮町で34m、岩手県宮古市で29.7mと予想された。東北3県で新しく建設された344㎞の防潮堤は、高さ10.4mしかなく、最大予測値はそれを軽く越えてしまう。防潮堤で街を守り人命を救うことには限界があり避難の時間稼ぎと考えるべきである。

さらに、全て海に面して立地するのが我が国の原発である。

原子炉への供給電源が喪失し、炉心溶融に繋がった福島第一原発の過酷事故は、水没する危険性が指摘されていたにも関わらず無視した結果の人災であった。しかも10年後の今日でも事故処理は遅々として進まず、当初の30~40年後の廃炉は夢のまた夢である。

福島原発事故で注目されるセシウム137の半減期は約30年であり、森林では除染は進んでいない。また各地の大量の使用済み核燃料は溜まる一方である。ドイツのように原発エネルギーから自然エネルギーへ、エネルギー政策を大きく転換すべきである。

菅首相は、「グリーン成長戦略」で2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを宣言し、再生エネルギーで産業を維持するとの方向性を打ち出した。

だが打ち出された政策は、50年時点で石炭火力発電と原発の合計で30~40%維持、再生可能エネルギー50~60%というものであり、国民や世界をあざむくものである。

地球温暖化・自然破壊にブレーキがかからない今、世界はCO2など温室効果ガス排出ゼロ目標を前倒しする大きな流れになっている。

行き詰まる資本主義社会の限界を打ち破るには、温室効果ガス排出ゼロ、脱原発・再生エネルギーへの技術革新、産業構造の大転換が必要である。そのために政府は強力な指導力を発揮すべきである。


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