新型コロナ禍で露呈する行政の「不合理」と「矛盾」

この間テレビ番組に度々出演する吉村大阪府知事だが、発言内容が新聞ではあまり掲載されないことに気がついた。根拠が薄弱で、活字にし難いためではないか。

そして、府知事の対応は「民主的な手続きを踏まない政策決定が多い」という点で首を傾げたくなる。緊急事態宣言やまん延防止重点措置の要請・解除・延長などを、近隣の知事や府の専門家会議での合意を飛び越えて、府民向けにアピールすることが常態化している。府民はその場しのぎの外出自粛要請などに不満を募らせている。

また、非科学的な政策決定にも驚かされる。突然の雨合羽募集、ポビドンヨード騒動、赤信号点灯を避けるための「大阪モデル」改変、感染拡大が指摘される中での大阪市廃止住民投票強行など、新型コロナのまん延に人災要素が大きく関わっている。

今回の新型コロナまん延防止対策は一刻の猶予もならない事態を迎えている。在宅死が全国に比べ抜きん出ている状況下で、国内外の科学的知見、広島県などの先進的な行政的実践に大阪府は謙虚に学ぶ姿勢が必要である。

PCR検査等の積極的実施、ウイルス変異株の解析、陽性者の早期診断・隔離・治療は勿論のこと、ワクチンの早期接種など、感染を封じ込めてきた世界の実践例に目を瞑ってはならない。

困難を克服するための社会保障政策へ転換を

今回の100年に一度と言われる新型コロナ感染症は、憲法25条の価値を再認識する絶好の機会となっている。

急性期病床不足、医師・看護師不足、公衆衛生の砦である保健所不足など、薄氷を踏むような医療制度・公衆衛生行政の下で生活していたことを、皆思い知らされた。

このような時期に急性期病床を削減する「病床削減法案」と高齢者の窓口負担に2割化を導入し受診抑制に直結する「医療費2倍化法案」の国会強行採決は許されない。

この2法案には「自民・公明・維新・国民民主」の各党が賛成したが、新型コロナ禍で医療現場のひっ迫と病床不足が問題となり、特に大阪ではコロナ病床増床を医療機関に強制しておきながら、一方で病床削減などを進める方針は明らかに矛盾している。

医療人として通常の診療で地域の健康を守りながら、緊急事態である今、「人命第一」「科学的判断第一」の診療が一層大切である。コロナ禍の様々な困難を克服するためには、診療環境の改善がどうしても必要である。

診療の場で得られる府民・患者の切実な声と会員の意見を大阪府保険医協会に寄せていただき、政府・大阪府に力強く要求することが最重要課題だ。


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