新型コロナ感染症対応の問題点 原発事故と変わらぬ構図

数年前から国立感染症研究所の予算や人員は削減が繰り返され、現場は疲弊し悲鳴が上がっていた。感染研は日本の感染症対策の中核であったが、共産党の田村智子議員が昨年4月参議院委員会で「国立感染症研究所の体制の弱体化についての警告」を政府に厳しく問いただしていた。感染症対策の最前線は、実はコロナ感染症発生以前から崩壊寸前であったのだ。

全国の保健所の統廃合も含めた公務員の減少も相まって、PCR検査が増えないのは当然であった。初期には専門家の中でも、感染者が増加すれば病床の確保が間に合わず医療崩壊を危惧して、PCR検査を意図的に抑制していたという声が出された。

具体的には、診療所レベルでPCR検査が必要と医師が診断しても接触者センター(保健所)で拒否され検査ができなかったというような事例が大半である。そのため2月以降問題となっていたPCR検査の件数が諸外国と比べ驚くほど低い水準となっていた。PCR検査は公立の検査機関以外でも各大学の研究所、民間検査会社に依頼すれば「毎日数万件の検査は可能」と言われていたにもかかわらずだ。

検査スタッフの研修、自動分析器械の拡充、検査キットの確保など、政府のやる気があればできたはずである。しかし対応は遅れ、5月13日の時点でようやく検査数2万件に達した。

政府は外出など自粛の要請を実現しえる緊急事態宣言を4月7日まで出し渋り、知事が行う休業要請の範囲も狭めようとした。自治体は行動しない政府を見限り緊急事態宣言の法的枠組みによらず、独自に移動、経済活動を抑制する動きが起こった。

安倍首相の説明に疑問を持ったのは、2月27日の全国休校措置に関する説明である。新型コロナウイルスによる子供の発症例が極端に少ない中で首相は「何よりも子供たちの健康、安全を第一に考えた」と説明した。こうした首相の理解の危うさは、首相に助言する官僚と専門家の能力を疑わせた。政府の諮問を受ける専門家たちは科学者らしからぬ曖昧さと一貫性の欠如が目立った。

こうした政府の姿勢は、福島原発事故における対応と共通するものがある。初期の放射能拡散の情報は正確でなかったし、その後、拡散した放射線による健康影響についても過小評価しようとした。復興庁の出したリスクコミュニケーションが物語っている。若年者に対する甲状腺検査により明らかに甲状腺がんが増加しているという声が専門家から出ているにもかかわらず、放射線起因性を否定する態度をとってきた。 原発対応から変わらぬ日本政府の非常時の対応は国民の生命と健康をないがしろにするものである。


ページ上部へ戻る