マイナンバーカードで資格確認―導入は慎重にすべき

8月に配布された後期高齢者の保険証とともに「2021年3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになります!」と書かれたリーフレットが国民に配布された。マイナンバーカードを利用して、世帯単位であった被保険者番号に個人単位の番号を付加し、オンラインでの資格確認をしようとするものである。

受診に際しては、当面マイナンバーカードと従来の健康保険証のどちらでも使用可能となっている。しかし、リーフレットには「これまで通り保険証で受診可能である」ことは明記されておらず、そのためであろうか、マイナンバーカードを申請する高齢者が増えているそうである。

これとほぼ同時期に医療機関宛に、「オンライン資格確認導入に向けたご案内」というパンフレットが送付されている。来年3月よりオンラインでの資格確認を導入するというもので、①顔認証付きカードリーダーを無償提供する、②オンライン資格確認に必要なシステム整備に係る補助金を給付する、と案内されている。おいしいアメをばらまいて、何が何でもマイナンバーカードを普及させようという前のめりな姿勢が伺える。

医療機関にマイナンバーを持ち込むことにより、医療機関・患者双方に混乱をもたらすことが危惧される。保険証に紐付けされたマイナンバーは、重要な個人情報である。従って医療機関はカードを受け取ることはできない。個人情報の漏洩に繋がるからである。

窓口でのマイナンバーカード利用は高リスク

患者は自らカードをカードリーダーにかざすことで、マイナンバーを知られないようにすることができるが、現在の保険証のように診察券と共に医療機関の窓口に出したり(高齢者は保険証と診察券をまとめてカードケースに入れて一緒に出すことが多い)、落としたり、カードリーダーにかざすのに手間取って手伝わざるを得ない状況になることもあり得る。窓口のスタッフにとっても大変なストレスである。

医療機関はカードリーダーの無償提供やシステム整備の補助金があるなら経費はかからないと思われるかもしれないが、オンラインのランニングコストや維持費は継続してかかってくることに注意が必要である。

本来は保険証の資格喪失時の回収等を保険者が責任を持って行うべきところであるが、現状では資格確認の責任を医療機関に押し付けている点で既に間違っている。また、マイナンバーと健康情報が将来的に紐づけられ、政府や企業に利用されるのではないか等の問題点も懸念されている。

マイナンバーカードによる保険証のオンライン資格確認等システムの導入には慎重に対応していただきたい。


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