コロナ禍のインフルエンザ 日本の予防接種行政の問題も露呈

冬の訪れとともに新型コロナウイルス感染が再拡大し、欧州連合(EU)各国ではロックダウンが再実施されている。国内でも、累計感染者数は10万人を超え、死亡者数は2千人に達しようとしている。

例年12月になると、インフルエンザの流行時期に突入するが、昨季の国内インフルエンザ感染者数は、例年より450万人少ない728万人だった。今季の南半球のインフルエンザ累計患者数は例年の99%減と報道され、国内でも今季43週のインフルエンザ患者数は、全国で30人と例年の1%以下となった。新型コロナウイルス感染予防策が奏功したとも、新型コロナウイルスがインフルエンザの流行を妨げるウイルス干渉とも言われる。

新型コロナウイルスワクチンは供給開始されず、インフルエンザが流行しない状況が続く事が望ましい。厚生労働省は、今年は過去5年で最大量のワクチン供給を予定し、65歳以上のワクチン接種を10月1日から開始し、それ以外は10月26日まで接種を待つように通達した。

日本小児科医会は、乳幼児はインフルエンザ脳症のリスクがあり、接種時期は遅らせるべきではないとの見解を発表した。多くの自治体では65歳以上の接種を無料化し、10月初旬に多くの接種希望者が医療機関を訪れた。

有精卵を原料にインフルエンザワクチンは製造され、医療機関には昨年度実績に基づき供給されるため、多くの医療機関で予約を断らざるを得なかった。大阪府保険医協会が行った緊急アンケートでも、必要量のワクチンが確保できないとの声が多く寄せられ、10月22日、厚生労働省に随時必要量を供給することの徹底を強く求める要望書を提出した。

インフルエンザ不活化ワクチンの接種量と接種回数は、世界保健機関(WHO)と米国予防接種諮問委員会(ACIP)が、9歳以上の小児及び健康成人に対しては1回接種としている。我が国では、6カ月以上3歳未満は0.25ml2回接種、3歳以上13歳未満は0.5mlを2回接種、13歳以上は0.5ml1回接種としている。

疫学を元に、根拠に基づいた予防接種行政がなされるべきだが、わが国は慣習的に干支1周りを基準にし、見直しがされていない。子宮頚癌ワクチンやムンプスワクチンやB型肝炎ワクチンなど、わが国の予防接種行政には首を傾げざるを得ない。

ACIPを見倣い、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会が2013年に開設されたが、その活動は以前と変わるところがない。科学的な根拠に基づいた調査と開かれた審議ができる独立した予防接種諮問機関の設立が急務と考える。


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