昨年12月9日、菅首相と山口公明党代表の会談が行われ、政府・与党は75歳以上の医療費の窓口負担を年収200万円以上の人を対象に2割に引き上げることで合意した。

これを受けて全世代型社会保障検討会議は12月14日に「年収200万円以上の人を2割負担の対象」とする最終報告をまとめ、翌15日に閣議決定された。実施は公明が求める2022年10月からとなる見通しとしている。1月18日に召集された第204通常国会に政府・与党は関連法案の提出を予定し成立を目指している。

窓口負担1割から2割への引き上げは実質2倍化であり、収入が低い高齢者にとって大きな負担増となり、受診抑制に拍車がかかり病状の悪化に繋がることが懸念される。

世代間の対立図式を描いてはならない

年間16兆円とされる75歳以上の医療費のうち、半分は税金、約4割は現役世代が加入する健康保険組合などからの支援金、1割は高齢者が納める保険料でまかなわれている。

政府は約370万人の医療費2割負担導入で現役世代の負担が約880億円軽減する効果があるとしているが、一人当たり約800円の減額に過ぎない。現役世代の負担軽減は後期高齢者医療制度への国庫負担の増額を検討すべきであり、「団塊の世代」が2022年から75歳になって医療費が膨らむからといって世代間の対立図式を描くものであってはならない。

さらに、厚生労働省は1月22日、2021年度の公的年金の支給額を今年度より0.1%引き下げると発表した。引き下げは4年ぶりで、国民年金は月66円減り、厚生年金は月228円減るとしている。

窓口負担が2倍になり、年金が引き下げられることで後期高齢者に与える経済的、心理的負担は大きい。

今はコロナ対策に全力を挙げることが必要

菅首相は就任時「自助・共助・公助」を唱えたが、「公助」が棚上げになっているのではないだろうか。

年々増大する軍事費、無駄な大型公共事業、開催が危ぶまれるオリンピック予算、IR・カジノの公共投資などを真剣に見直せば必要な社会保障費の財源は産み出されるはずである。

新型コロナの感染で重症化し、死亡例が多いのが高齢者である。受難の高齢者に対して75歳以上の2割負担の導入は弱者に鞭打つ冷たい政策ではないだろうか。
今、政府に最も必要なことは75歳以上の窓口負担2割導入などではなく、感染拡大に歯止めをかけ医療体制の確保に全力を挙げることである。今通常国会では75歳以上の医療費2割負担等関連法案の成立を決して許してはならない。


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