オール民営化の闇 公的役割をつぎつぎに放棄する大阪


大阪市営地下鉄・市バスの「廃止条例」が2017年3月28日に可決され、大阪メトロが2018年に誕生するなど公共交通機関に変化が現れた。

1903年に開業して以来、一世紀以上の歴史があった大阪市営交通は、大阪市民の貴重な共有財産であった。その民営化にあたっては「納税・株の配当で年間約100億円」収益が見込める試算だったが、ふたを開けてみれば収益は地方交付税の減額で40億円程度となった。サービスの充実や他には負けない民間鉄道会社を目指すとの計画も、すでに公営で実現できていた内容で、利潤第一の儲け主義が浮き彫りとなった。

大阪維新の会が進める民営化政策は他にもある。自治体が民間に委託料を支払い、公共施設や公園などの管理運営を任せる「指定管理者制度」を、その長期運営権にまで広げる例は驚嘆に値する。

大阪城公園一帯の施設を、例えば大型利便施設やレストラン、パーティースペースやテーマパークといった「娯楽追求」に特化させようと計画している。PMO(パークマネージメント事業)と呼ばれる公園の民間売却は、大義名分を掲げても営利事業化を目論んでいることに変わりなく、市民の共有財産が利用されているのだ。

大阪市役所の民営化も問題だ。住民情報窓口業務の民間委託で業務が安全に遂行されるのか。情報漏えいや過度な人件費削減、偽装請負が起こらないか、などの課題を軽視して、民間活用を行えばすべて良しと考えるいびつな発想が垣間見えて仕方がない。

公立保育園の運営も民営化されてゆく。この分野に関してはデメリットとして、保育士の入れ替えで園児と業務に負担がかかり、保育料以外に費用負担増の可能性、保育面積の減少、保育士の待遇悪化や臨時職員の雇止め、といったことが懸念される。

健康や文化、文明までも危険に導く過剰な民営化

先ごろ著書『日本が売られる』を出版した堤未果氏は水道の(公設)民営化について、水道料金値上げや市場独占による行政との力関係、財政の不透明性や水質悪化、そして災害時における水の安定供給義務がないなどを指摘。海外では水道事業を民営化した後に山積みする問題に気づき、再び公的事業に戻した国もあるが、そのために大変な労力を要したという。

健康や文化、文明までも危険な状態へと導く過剰な民営化政策は危険である。そこには市場原理主義や新自由主義に則った前のめりの思想が見え隠れする。堤氏の言葉をまとめに代えて記す。「全国にいる医療者の皆さんがこの構造に気づき、『考える市民』として患者さんや地域の人々に接したらどうなるでしょう? いのちが決して紙の上の数字ではなく、一つひとつかけがえのない価値を持っていることを誰よりもよく知っている人々の行動は大きな力になるはずです。私はそこに、希望を感じるのです。」(『月刊保団連』2019年6月号より)

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