【国保都道府県単位化】新型コロナで「国保制度」崩壊の危機 「国保」被保険者への緊急的支援策が必要

大阪府の高額な国民健康保険料(以下、国保料) に対して、保険医協会は改善を強く求めてきました。更に現在は新型コロナウイルスの問題も重なり深刻な状況です。そこで改めて大阪社会保障推進協議会の寺内順子事務長にお話を伺いました。

大阪社会保障推進協議会
寺内 順子 事務長

―まず始めに府下の国保料に関する状況を教えて下さい

大阪府は全国に先駆けて国保料の統一化を行い、その保険料は毎年大きく引き上げられてきました。2020年度の都道府県標準保険料率と比べても大阪府の統一保険料が高額であることがわかります(表)。

さらに、現在でも高額な大阪府の保険料ですが、これは激変緩和措置という期限付きの特別な措置を利用したうえでの金額です。2024年度にはこの激変緩和措置はなくなるため、急激な上昇が見込まれます。

大阪社保協として、これまで大阪府に対して、2024年までの国保料シミュレーションを早く出すべきだと強く求めていました。今年の1月にようやく出されたのが、下図のシミュレーションです。これには各市町村の国保課の担当者も大きく驚いていることでしょう。こんな国保料は到底払うことができません。改めて統一国保料の問題点が浮き彫りになったと考えています。

図 大阪府の一人当たりの保険料額の推移試算

新型コロナの影響を特に受けやすい国保加入者への緊急的支援を訴える

―新型コロナウイルスの影響について教えて下さい

現在でも大変高額な国保料ですが、新型コロナウイルスの影響を大きく受けることで、今年は特に国保料を払えない人が多くなることは間違いありません。新型コロナウイルスの影響を受けやすい非正規雇用の方、自営業の方、フリーランスの方が加入しているのが国保だからです。

国も新型コロナウイルスの影響を一定考慮し、徴収の猶予や換価の猶予を今まで以上に行うほか、提出資料の簡素化等の配慮を行うよう通知が出ています。4月に入り国から「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援について」という事務連絡が出されました。市町村がいち早く周知し対応する必要があります

また、社保と異なり、国保に関しては傷病手当がありません。こちらに関しても国は一定配慮を行っており、新型コロナウイルスに感染して仕事を休んだ場合の傷病手当を特例で条例改正して作るように促しており、その手当も全額国による調整交付金によるものと打ち出されました。

しかし通知が出たのが3 月のため、3月議会には間に合わず多くは6月議会での条例改正となります。いち早い改正を求めたいのですが、そもそもの問題として新型コロナウイルスに感染していなければ傷病手当の対象になりません。今、問題になっているのは直接自分が感染することではなく、感染前に仕事がなくなる場合です。

自身の感染に関わらず働けなくなった場合の手当てや補償制度の創設を求めていかなければならないと考えています。

今年は本当に危機的な状況で、保険料が上がるという話以前に制度そのものが持つかどうかという状況にあります。この危機の背景にはやはり統一国保化の問題があります。

国保の統一化を進めたことで、各市町村はこれまで持っていた優れた減免制度を廃止・縮小していきました。本来は、こうした危機的な状況下だからこそ地域住民のための細やかな制度が生きてくるのですが、本当に残念で憤りを感じます。この点からも統一国保の問題点を訴えていく必要があります。

国民皆保険を下支えする国保制度 医療現場からも声を上げてほしい

―保険医協会の会員の医師に対して伝えたいことはありますか

社会を守るためには「いつでも、どこでも、誰でも」医療を受けられる日本の医療制度を守っていかなければいけません。

アメリカなどでは皆保険制度がないことで、医療にアクセスできず亡くなっている方が大変多いです。

今回のことで国民皆保険の大切さが改めて感じられるのではないでしょうか。この国民皆保険制度を下支えしているのが国保です。ここが崩壊すれば国民皆保険制度も併せて崩壊します。

今のところ、日本が新型コロナウイルスの影響をここまでで食い止めているのは、国の病床削減や社会保障改悪政策に対して、医療現場が戦ってきたからだと思っています。是非国保問題に関しても先生方から声をあげていただきたいと思っています。


ページ上部へ戻る