「避難所T・K・B」から被災者生活を考える

日本における災害は、これまでにも増して大きな問題をはらんできている。地震・台風・集中豪雨など、自然災害から私たちは不可避である。今も運用される災害関連法が被災者の人々に十分な支援を行えているのかが重要課題となる。多岐にわたる災害対策だが、今回は焦点を「避難所」にあててみたい。

月刊保団連2019年12月号の巻頭「道」で避難所・避難生活学会理事の水谷嘉浩氏が強調するのが、1930年の伊豆地震の当時と避難所の状態が今も変わっていない点である。不衛生な床で雑魚寝状態、パン、カップ麺など粗末な食事で栄養状態も懸念されトイレの問題も深刻となっている。

平成の約30 年間に計4939人が災害関連死と認定された。復興庁は東日本大震災での震災関連死の調査結果を公表しており、約51%が「避難所における肉体・精神的疲労」が原因と報告した。

段ボールベッド活用で被災者の罹患防ぐ

こうした中、水谷氏が提唱するのが災害時の避難所への段ボールベッドの供給だ。段ボールはトラスト構造と呼ばれる形態を取り入れた加工法で強度もあり、長期にわたる避難所でのエコノミークラス症候群や呼吸器疾患、廃用症候群に有効であることが証明されている。

段ボールベッドに腰かけたとき足が床にしっかり着きADLの観点から有用である。組み立てに工具は不要、6カ月以上の使用が可能、また避難所でのプライバシーを守ることができるなど多くの利点を持つ。

現在、この段ボールベッドが備蓄不要で災害発生時ただちに避難所等に届けられるよう、防災協定の締結が自治体との間で進められている。長期の避難所生活を余儀なくされている被災者に寄り添った活動ならば大歓迎である。

諸外国の避難所では72時間以内に簡易ベッドが設置される。被災者が床で雑魚寝する日本の避難所の現状は海外から見れば信じられないことだという。2012年のイタリア北部地震の際も、大型テントに簡易ベッドは無論のこと、トイレ・洗面台・シャワー併設コンテナの手配やキッチンカーで料理人が作る温かい食事が提供されるなど、日本とは大きな違いが存在する。

最後に再度、水谷氏の記述を紹介したい。「災害関連死を防ぐためには、身体的ダメージを与えない避難所環境が必要である。そのためにはイタリアのように、『避難所T・K・B(トイレ・キッチン・ベッド)』の整備を進めて、避難所生活の質を日常に近づけることが重要であろう」


ページ上部へ戻る