「新型コロナ禍」対応で苦慮する医療現場 感染対策に悩み、待ち望む医療備品等

まず、今次診療報酬改定に異議を申したい。新型コロナウイルスが世界中で蔓延している中で、予定通りに4月1日より改定された。確定申告や運転免許証などの提出期限が延長しても、今回の診療報酬改定は延期されなかった。なぜ強引に診療報酬の改定をしたのか。厚生労働省は感染拡大を恐れて1回の改定説明会も開催せず、軒並み中止となり、詳しい改定点数もわからないまま診療報酬改定のみが予定通り行われたのである。

保険医協会で取り組んだ緊急アンケートでも、今次改定の内容について「理解できている」と回答した医療機関は3割ほどに留まっており、「理解できていない」「不安だ」などと訴える医療機関が大半であった。医療現場のみに一方的に負担を押し付けるやり方に対して、国などが「医療従事者を使い捨ての奴隷のように扱っている」というように感じるのは筆者だけであろうか。新型コロナ騒ぎで医療機関が疲弊していく中、我々医師は軽んじられているのではないだろうか。この国の医療行政に疑問を感じざるを得ない。

改定では度重なる要求により処置点数や手術点数は少し改善されたが、私たちの診療の基盤となる初診料・再診料は据え置かれたままだ。そのうえ、新型コロナ騒ぎで、医療機関の責任で院内感染が起きているかのような印象を与えるマスコミ報道もある。感染リスクを避けて、患者が受診を控えるケースも増加しており、医院経営にも多大な影響を与えている。

このような中で感染拡大防止策とはいえ、4月10日より特例ではあるが、電話や情報通信機器等を用いて初診をも認めることとなった。しかし、情報通信機器を用いて行った診察の結果、万が一診断ミスであった場合に誰が責任を取るのだろうか。この責任問題については詳しい議論がされないままで、今後新たなトラブルが生じるのではないかと懸念が残る。また、オンライン診療があたかも全面解禁されたかのようなポスターを厚労省が作成していることも問題である。あくまで時限的な特例であり、医療の原則は対面診療である。

新型コロナウイルスの対策についても、開業医は新型コロナ感染の疑いのある発熱患者、空咳患者に対して診療拒否できない事情がある。診療後、もし医師やスタッフが感染したら、医療機関を2週間閉鎖しなければならない可能性がある。まず何よりも求めたいのは、こうした懸念点を解消するための「感染拡大防止のためのマスク等の医療材料の不足解消」「医院が閉鎖した期間の財政的補償」「PCR検査体制強化」「熱発患者を紹介できる体制整備」などだ。現場からは悲痛な声が上げられているにも関わらず、政府は十分な対応を行っていない。

文句ばかり言っても仕方ないかもしれないが、今こそ国民に本当に必要な医療は何かを我々も真剣に考え努力しなければならない。


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