「妊婦加算の復活」と妊産婦医療費助成制度の創設を訴える

10年ほど前に当時の首相・小泉純一郎氏による医療費総枠規制によって〝早よ死ね言うんか〟と言わんばかりに高齢者向け医療福祉が縮小されることになったが、今また、当時の自民党厚生労働部会長で現・環境大臣の小泉進次郎氏による「妊婦加算凍結」で周産期医療の息の根が止められようとしている。

二代にわたり日本の医療制度を脅かす政策断行をもくろむ政治家が国民の人気政治家であると云うのは何とも皮肉な状況である。小泉進次郎氏にとって「妊婦加算凍結」は公的医療の縮小プランの第一着手に過ぎない。

小泉進次郎氏は2019年1 月9日、NHKのインタビューに対し「妊婦加算だけではなく、次の診療報酬に対する注目の変化(がある)。今までの中央社会保険医療協議会(中医協)はあまりにも専門性が高いから注目が向かなかったところに(世間の目が)向くというのは良い緊張感になると思いますよ」などの発言をした。

この問題は妊婦加算だけに留まらない

小泉進次郎氏は、社会保障のあり方の見直しを理由に今後の診療報酬改定に向けた議論をする上で、妊婦加算と同様な診療報酬が他にないか、より一層検討が必要であるとして診療報酬体系自体にも言及している。妊婦加算の凍結は民意を得たとして、今後ますます診療報酬を政治主導で揺るがしていくのではないかと我々は危惧している。

かつて父親の小泉純一郎氏が〝郵政関係の公務員は悪〟だと訴え国民世論を味方につけて郵政民営化を断行したように、小泉進次郎氏もまた、妊婦加算があたかも〝妊婦税〟であるという一部の批判を世論の声として取り上げて凍結させた。異例の政治主導での凍結を受け、公的医療が破壊されていくことに危機感を抱く。

保険医協会が先鋒となり取り組むべき課題

保険医協会の会員からは、アカデミアとしての品位や交渉団体として忖度を強いられる学会や医師会に比べると〝フリーハンドの立場にある保険医協会が先鋒となってこの目論見を阻止してほしい〟との声が寄せられている。

「妊婦加算の復活」は必須だと考えるが、患者に負担とならないように、小児医療同様に妊産婦への医療費助成が充実してこそ成り立つものではないか。妊産婦医療の充実のためには妊産婦への医療費助成制度の確立が急務である。そして、早産による低体重児出生と歯周病の関連も明らかになりつつある中、歯科医療も医療費助成制度の対象にすべきとした署名運動を大阪府歯科保険医協会とともに行い、9月には医師・歯科医師1000人アピールを大阪府に提出した。

現在も継続している署名活動とあわせて、SNSを用いてダイレクトに妊産婦に訴えることも始めていくのが良いのではないかという意見も保険医協会に寄せられている。来年の診療報酬改定を控え、医療従事者と患者双方が納得できる制度が実現するよう務めたい。


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