「妊婦加算」から患者一部負担金を再考する


mushimegane

保険診療 虫めがね No.43

今回の保険診療虫めがねでは、巷で話題の「妊婦加算」の確認とともに、患者一部負担金について再考します。

18年診療報酬改定で新設された「妊婦加算」を巡り、厚生労働省は11月2日付で「妊娠中の健康管理及び妊婦加算の周知について」とする通知を都道府県の母子保健担当部等へ発出しました。

これは、報道やSNSなどを通じて、窓口負担が増えた妊婦さんの不満が広く知られるようになったことへの対応として出されたものです。

改定では、初診料と再診料において「妊婦加算」(初診時75点・再診時38点)が新設されたことに加え、時間外診療の評価も妊婦については、時間外加算(初診時200点・再診時135点)、休日加算(初診時365点・再診時260点)、深夜加算(初診時695点・再診時590点)とされました。

診療報酬の点数設定については、医療機関からみて納得のいくものも、納得のいかないものもありますが、手間や困難さが伴えば「療養の給付の対価」である診療報酬は高くなる傾向にあります。「妊婦加算」もその評価は様々ですが、趣旨は、禁忌の薬が多いなど、何かと配慮が必要な妊婦さんを診察・治療することへの評価とされています。

通常、正常分娩や妊婦健診は自費ですが、妊婦さんが、風邪をひいて受診するとなれば保険診療となり、3割負担となります。「妊婦加算」が算定されることで、一部負担金が高くなり、不満に繋がっているのは確かでしょう。ただ、その不満を報じる内容をみると、診療報酬と患者一部負担金の関係が強調されていないため「医療費が高い」等の意見で留まっている印象です。

現状の一部負担金の仕組みでは、妊婦に限らず、重症患者や診療が難しい患者ほど、相応の診療や投薬等が必要であり、その分、患者負担が高くなるということになります。

「患者のコスト意識を」との意見もありますが、この一部負担金への対策が取られない限り、何らかの診療報酬上の評価がなされても、患者の負担感に跳ね返り、医療機関と患者との摩擦に繋がることは避けられません。一方、小児医療においては従前から「乳幼児加算」が算定されていますが、「子ども医療費助成制度」のおかげで、負担が一定程度、軽減されているため、患者から不満の声は聞こえません。

「妊婦加算」に対する妊婦さんの不満を報じるだけでなく、その背景にある一部負担金の問題点に迫る報道や議論を期待したいものです。

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