「大阪都」構想・住民投票 最悪の時期に最悪の選択

もしも「都」構想によって、京都府から京都市が、兵庫県から神戸市が廃止されれば、歴史ある京都市もおしゃれな神戸市も消滅してしまう。さすがに京都や神戸の市民は激怒するだろう。「大阪都」構想とは「大阪市廃止」構想でもある。せっかく政令指定都市として大阪府から移譲された大きな権限や財源を失うばかりではない。歴史と文化の魅力ある大都市としての風格とプライドが失われてしまう。大阪市民は如何に考えるか問われている。

これから11月にかけては徐々に寒くなり医療機関では発熱患者が増え、インフルエンザや新型コロナ疑い、秋の花粉症で医療機関は混乱する。大阪府内でも、コロナ禍で倒産や廃業、失業が増え、市民生活が苦境に落ち込む非常時となる。ところが大阪府議会は10月1日から1カ月以上も会議を開く予定はない。平時ならいざ知らず、まさにこのような危機的な時にこそ、大阪府は極めて重大な責任を背負ってコロナ禍に日夜対応するべきと考える。住民投票に関連して1カ月以上の政治的空白を作ることなど大阪府は、責任の放棄・敵前逃亡であり言語道断である。そもそも、自身の発言を二転三転と変え世間に混乱をもたらす府知事と独自施策を実質放棄している大阪市長を大阪府民や大阪市民は支持するのであろうか。府民を混乱させたイソジンうがい薬にせよ、安全性が確保されていない新型コロナ大阪ワクチンの治験問題にせよ、知事や市長としての資質は完全に欠落している。

二重行政は無駄なのか

今回の住民投票では「二重行政」の廃止が大きな争点になる。しかし「二重行政の無駄」が本当にあるか考えなければならない。大阪府の制度に政令市である大阪市が二重、三重とサービスを手厚くしているおかげで子ども医療費助成の対象年齢が拡大されているなど、住民サービスの向上のため二重に行政を行っている実態がある。仮に本当に無駄な「二重行政」が生じているのであれば、大阪市を廃止せずとも解消は可能である。住民投票に約10億円、初期費用総額241億円の公費を使うことこそ税金のムダ使いである。

大阪市は政令市なので市税が約6600億円ある。もし住民投票が可決されると、大阪特別区の区税は約1800億円と4分の1の税収になり、その多くは大阪府の財源となる。かつて橋下徹(元)知事は「大阪市が持っている権限・力・お金をむしりとる」と公言した。大阪維新の会の思惑どおり大阪市の社会保障は後退し、医療費助成制度が縮小されようとしている。一方で、大阪府は増収分を社会保障に使うのでなく、総額1兆円を超える大型の公共事業や万博・カジノを推進する財源にするとしている。

一度大阪市の住民投票が可決されると雪崩を打つように、隣接する10市(堺・豊中・吹田・摂津・守口・門真・大東・東大阪・八尾・松原)は、市民の投票ではなく市議会の決定によって特別区への加入が可能となる。市議会の政党の力関係次第では住民の意思とは関係なく〝自動的に〟市が廃止され特別区になりかねない。

このコロナ禍のなか「時期も最悪、選択も最悪」の大阪市廃止構想に反対の投票をして否決しよう。


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