「上手な医療のかかり方」を考える 医療機関・患者の双方に配慮する体制を


医師の献身的な働きで日本の医療は成り立っている。重要なのは、この主張が医師の自己弁護やエゴイズムというレベルの話ではないということである。これまで医師の過労死が報道され、統計に基づく分析を行った一部の研究を踏まえて、医師不足でも世界的に高水準の医療を保つ日本の現状報告が行われた。

〝医師の働き方改革〟とも関連する議論が始まった。10月8日、厚生労働省は「上手な医療のかかり方」を考える懇談会を開いた。軽症でも時間外に病院を受診する、いわゆる「コンビニ受診」をする患者は多いとされている。医師法には「医師は正当な理由なく患者を断ってはならない」との応召義務があり、このことが患者の時間外受診を容易にしている側面がある。患者の窓口負担増による受診抑制は根深い問題だが、別次元の話として時間外受診の敷居が低いことが、任務を忠実に遂行する医師の外来業務を増やし、彼らの疲弊が問題化している。

厚労省発表では2012~17年までに7人の医師が脳や心臓の疾患で死亡し、未遂も含めた5人が自殺している。ここには医師不足の問題も垣間見えてくる。「上手な医療のかかり方」が示すのは、医師以外の医療関係者も含めた健康被害を問題視し改善する策として、不要不急の時間外受診は控えるように国民に周知させる方向性だ。時間外受診が病院の外来患者の集中や待ち時間の延長につながり、結果的に丁寧な診察や検査、説明がおざなりにされるという問題は深刻である。

患者が気軽に相談できるシステムづくりを考える

一方で、患者にとって疾患の不要不急の判断や、仕事で多忙な合間を縫って診療時間内に診察を受けることが難しいのも事実である。診断や対応が難しい難病患者にも受診の仕方に柔軟な選択肢が必要で、患者の判断にも配慮を求める声も聞かれる。

以前から#8000(子どもの病気に関する情報提供ダイヤル)や#7119(24時間対応の病気の緊急性判断対応ダイヤル)を実施している地域があるが、まだ広く国民に知られてはいない。厚労省が情報を得るための患者向けのウェブサイトをつくるほか、仕事を持つ人が正規の診療時間内に受診できるよう企業の協力を求める動きも見られる。

遅まきながら医療側、患者側双方の意見を上手に調整し、単調とならない医療アクセスのためのシステムづくりを考える時期に差しかかってきたということだろうか。

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